6.16.2013


夢は僕を睨んでいた

日々に無駄な時間が溶ける 全てのことが無駄に思えた
僕は摩耗していた
徹夜をして朝日を見た学生のように
雨ざらしとなったコンビニ傘のように
六年生のランドセルの金具のように

「大人」になって見えたことや知ったことは
世の中とよばれる世界は僕をちっとも必要としていないこと
金と時間を欲しがって純粋さを失った人たち
それらを嫌った その他諸々のどうしようもない怒りにみちた者達

本当にやりたいことはいつだってできた いつでもできた

それならば 夢とは何だ
食い物にして生きる理由か 日常に消化して飽きる行動か

誰に与えられたのか いつの間に僕がそれを受け取ったのか

僕は夢を追いかけた もう20年も追っている
失って後悔するものでもない ただただ追ってきた

この手応えの無さは何だ

すこし走り疲れたと信じたい
日々の焦燥が、この「勘違い」を生んだとだと信じたい


僕は 夢を失いかけていた

4.18.2013

ショート・トリップ 弐




よくカブトムシを捕りに行った神社にたどり着いた。春の陽気が頭に響いて、脳は相変わらず「懐かしい」とワンパターンに認識するばかり。驚くほど静かな山の中を、僕は一人で登っていた。自分の人生を暗喩されているようだった。悲しみは止まらない。山を登り切ったとき、家をでる頃にはまだ登り切っていなかった太陽が木々の隙間から顔を覗かせていた。こんな景色は百年前も百年後も同じな様な気がして、少しだけ自分のやっている諸行が報われたような気がした。 
 


                                  








ついに昔住んでいた団地へたどり着いた。僕は人生の大半を団地で過ごしている。団地から団地へ引っ越しているからだ。団地は好きだ、無機質な外観から漂うどことない寂しさが好きだった。何も風化していない、記憶のままの団地が、結局僕の感じているノスタルジックなんて、たかが十年のささいなモノなんだと、ひどく乱暴に言っているようで、胸が痛んだ。 僕が昔住んだ部屋はもちろん誰かが住んでいて、もう僕には帰る場所なんてないと思った。そしてすぐに、最初から帰る必要なんてないのだと、逃げる場所なんていらない、逃げないために今日僕はここに来たのだと再確認した。

僕はもう、
どこへも行きたくなくなっていた。









二度と戻らない日々。
僕の中の景色は、
僕じゃない誰かのために
今も変わらず、
そこに在った。


何も変わらずにいた、故郷の景色。
広い田園は妙に虚しかった。

                                   

ショート・トリップ 参へ続く

4.16.2013

ショート・トリップ 壱

 返りたくなった。

学校を卒業し、休もうと思えば無限に休める在宅生活が一ヶ月程続いた。
僕はもやもやしていた、具体的に何が、とは表現できなかった。
とにかくモヤモヤと、苛々としていた、何故かは解らないけど。
一日オフを取り、小学校の時分に過ごした地元へ遊びに行く事にした。

                                

部屋を出よう

思い出に浸りたい、浸りたい。
小さい頃から引越しを繰り返して、友達と離れることが多かったせいか、
僕は思い出というか、懐旧というか、そういった類のものが大好きだった。
僕は小さい頃から昔に戻りたがる性みたいなのがあった、最近は失せていたが。

                                 

地元へは車で40分程度の距離。
MTBを購入した際に、これでいつでも地元へ行けると思いながら、
二年の時が流れた。自然に「行こう」と思える時を待った。
今日がその時だった。

                                 

MTBを走らせた。片耳のイヤフォンからはthe pillowsが流れた。うってつけ、というか今の自分の状況が「できすぎて」いて、なんとなく鳥肌がたった。次第に景色は懐かしさを増して、頭がぼーっとした。少しスピードを落として、よく景色を見た。平日の火曜、道には人が少なく、空はよく晴れていた。違和感があった。自分しか解らない今、この状況の幸福。トリップという言葉がピッタリだった。「自殺しに来た気分だな」とぼんやり思ったりした。


                                


自分の頭の中に覚えていた地図があった。遊びまわった地元というものは、どこの道をどう行けばいいのかが自然にわかるものだ。しかし、少しの誤差が出た。スケールが違うのだ、子供の頃必死で走り回った長い道は、今の僕にとって「長い道」でなくなっていた。すっかり背が伸びてしまった僕の、高い視点から見る懐かしの景色は、微妙に違うものだった。思い出の中の小さなジオラマに閉じ込められた気分だった。


                                 

「ショート・トリップ 弐」へ続く